過度な返礼品の自治体への寄附は対象外に! ふるさと納税は見直しへ

昨年閣議決定された「平成31年度税制改正の大綱」では、指定を受けた自治体以外への寄附は、ふるさと納税制度の対象外となる見直しが盛り込まれています。この指定を受けるには一定の基準を満たす必要があり、特に返戻品を送付する自治体は、①返礼割合は3 割以下、②返礼品は地場産品、の要件が求められることとなります。

 

目次

ふるさと納税制度と利用の推移

ふるさと納税は、自分の育った地域や応援したい地域に税制を通じて貢献することにより、地方と都市との税収格差を解消しようと平成20年度に導入された寄附金制度です。自治体への寄附金のうち、2,000円を超える金額のうち一定額まで、所得税や住民税から控除を受けることができます。

 

これまで自治体がふるさと納税として受け入れた額と件数をまとめたものが下のグラフです。
ここでは、東日本大震災に係る義援金等は除かれていますので、ご注意ください。

 

 

過熱する返礼品競争

平成27年度から受入額と受入件数が大幅に増えています。これは、自治体が返礼品の充実に力を入れ始めたことが大きな要因です。
また、返戻品の選択を目的としたふるさと納税専用サイトの充実や決済方法の整備など、利用しやすい環境が整えられたのも一因と考えられています。これに報道や確定申告が不要となる税制面での後押し等も手伝い、認知や定着が図られ、年々増加しています。

特に返戻品の充実は過熱の一途をたどり、いつしかふるさと納税は本来の趣旨を離れ、返礼品や返戻割合で選ばれる傾向となりました。こうした歪んだ状況を是正するため、総務省は何度も「返礼割合は3割以下」、「返礼品は地場産品」とするよう通知を出しましたが、次ページのとおり、平成30年12月27日公表の総務省による調査結果では、52団体が実質返礼割合が3割を超え、100団体が地場産品以外の返礼品送付を行っています。

 

出典:総務省「ふるさと納税に係る返礼品の送付状況について(平成30年12月27日公表)」

 

ふるさと納税の適正化

改正後は指定の他、指定の取り消しもできるため、自治体は指定を受けた後も、一定の基準を遵守し続ける必要があります。特に上記の自治体が指定を受けるには、冒頭の要件を満たすための見直しが求められます。返戻品や返戻割合がどう変化するのか、ご注目ください。

なお、この取扱いは、平成31年6月1日以後に支出された寄附金から適用される予定です。