令和2年度税制改正のポイント
令和2年度税制改正の大綱が昨年末に閣議決定されました。今回はその中から、資産に関わる改正項目のうち、いくつかピックアップしてポイントをご案内します。なお、この資料は、財務省 から公表されている「令和2年度税制改正の大綱」その他の資料を基に作成しています。(「令和2年度税制改正大綱」のポイント)今後公布等される法令通達等により、内容が変わる可能性もございます。ご注意ください。
目次
今回ご紹介する6つの項目
今回ご紹介する項目は、以下の6つです。
NISA制度が見直されます
所有者不明の土地・家屋について、実質所有者や使用者に固定資産税を課税します
🔶 現に所有している者(相続人等)の申告が制度化されます。
これにより、登記簿上の所有者の死亡後、相続登記がされるまでの間について、現に所有している者(相続人等)に対し、市町村は条例により、⽒名・住所等必要な事項を申告させることができるようになります。令和2年4⽉1⽇以後の条例の施⾏⽇以後に現に所有している者であることを知った者について適⽤されます。
🔶 使⽤者を所有者とみなす制度が拡⼤されます。
調査を尽くしてもなお所有者が⼀⼈も明らかとならない場合、事前通知の上、使⽤者を所有者とみなして固定資産課 税台帳に登録し、固定資産税を課すことができるようになります。令和3年度分以後の固定資産税について適⽤されます。
500万円以下の低未利用地等の譲渡について100万円の控除が受けられます
🔷 個⼈が保有する低未利⽤地※を譲渡した場合に、⻑期譲渡所得から100万円が控除されます。
🔷 例えば次のような⼟地に活⽤できる制度です。
・ 売却しても、思ったより収⼊が低い
・測量費や解体費等、譲渡をするための費⽤負担が重い
🔷 改正⼟地基本法の施⾏⽇⼜は令和 2 年 7 ⽉ 1 ⽇のいずれか遅い⽇から適⽤されます。
国外不動産投資に係る節税策が封じ込められます
🔶 国外中古建物からの不動産所得がある場合で、国外不動産所得の損失の⾦額があるときは、その損失額のうち、その国外中古建物の減価償却費相当額は、⽣じなかったものとみなされるように法改正され ます。令和3年1⽉1⽇以後の不動産所得について適⽤されます。
🔶 上記、なかったものとみなされた減価償却費相当額は、譲渡所得の計算上、取得費から控除しません。
国外財産調書制度について加重措置が追加されます
🔷 国外財産調書制度について、税務調査において納税者が必要な資料を提⽰・提出しない場合は、納税者に帰責性がないと認められる場合を除き、加算税が加重されます。令和2年分以後の所得税、⼜は令和2年4月1⽇以後の相続・遺贈により取得する財産に係る相続税について適⽤されます。
居住用の賃貸物件に係る消費税還付スキームが封じ込められます
🔶 居住⽤賃貸建物については、仕⼊税額控除制度の対象外となります。令和2年10⽉1⽇以後の居住⽤賃貸建物の仕⼊れについて適⽤されます。
🔶 経過措置として、令和2年3⽉31⽇までに締結した契約に基づき、令和2年10⽉1⽇以後に居 住⽤賃貸建物の仕⼊れを⾏った場合には、従前通り、仕⼊税額控除制度を適⽤することができます。
🔶 この適⽤を受けた居住⽤賃貸建物について、3年以内に住宅の貸付け以外の貸付けをした場合⼜は譲渡した場合は、⼀定の計算を⾏い、仕⼊控除税額に加算して調整します。
〈参考〉
国税庁「No.7456 国外財産調書の提出義務」 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/hotei/7456.htm
財務省「令和2年度税制改正の大綱」 https://www.mof.go.jp/tax_policy/tax_reform/outline/fy2020/02taikou_mokuji.htm
財務省「パンフレット「令和2年度税制改正(案)のポイント」 https://www.mof.go.jp/tax_policy/publication/brochure/z eiseian20.htm
金融庁「令和2年度税制改正の大綱における主要項目」 https://www.fsa.go.jp/news/r1/sonota/20191220.html
経済産業省「令和2年度税制改正について」 https://www.meti.go.jp/main/zeisei/zeisei_fy2020/zeisei_k/index.html
国土交通省「令和2年度税制改正」 http://www.mlit.go.jp/page/kanbo01_hy_007075.html