相続税の対象となる遺産とは?ならないケースも紹介

記事監修

税理士・中小企業診断士 小口 亮平

慶應義塾大学法学部卒。ITストラテジスト、freee認定アドバイザー。法律会計事務所での実務経験を活かし、資産税申告や事業承継、クラウド会計導入などITと税務の両面から経営を支援。

相続が開始されると、相続人は被相続人の一部をのぞく一切の権利義務を承継することになります。

しかし、その中で民法では相続の対象となっていたとしても、相続税上は課税対象にならないものもあります。

今回は相続税の対象となる遺産とは何かなどについて解説します。

 

相続税の対象となる遺産とは?

相続税の課税対象となる遺産、すなわち課税財産は、被相続人が死亡した時点で有していた財産のうち、相続や遺贈、または死因贈与といった行為によって相続人が取得したすべての財産を指します。

この場合の財産とは、経済的価値のあるすべてのものを指します。

この定義に基づき、課税対象となる財産は、その性質や形態を問わず、非常に広範囲に及びます。

具体的には、不動産、現金、銀行の預貯金、株式などの有価証券、宝石、骨董品、債権、そして営業権、著作権、特許権などの無形の権利まで含まれます。

被相続人が所有していたこれらの財産は、原則としてすべて相続税の課税対象として評価され、基礎控除額を超える場合に相続税が課税されます。

 

みなし相続財産とは

相続税の課税対象となる財産には、被相続人が死亡時に所有していた財産だけでなく、みなし相続財産と呼ばれる財産も含まれます。

みなし相続財産とは、法律上は相続や遺贈による取得ではないものの、実質的に相続と同様の経済的な効果があるため、相続税の課税対象とすることが法律で定められている財産のことです。

この制度は、相続税の公平性を保つために設けられています。

主なみなし相続財産の例として、以下のようなものが挙げられます。

 

■生命保険金

被相続人が保険料を負担していた生命保険契約に基づき、被相続人の死亡によって相続人が受け取る保険金は、みなし相続財産となります。

この保険金は、税法上の非課税枠が設けられています。

 

■死亡退職金や功労金

被相続人の死亡によって勤務先などから支払われる退職金や功労金も、みなし相続財産として課税対象となります。

これも生命保険金と同様に、一定額の非課税枠が設けられています。

 

その他にも、生命保険契約に関する権利や、定期金に関する権利、そして遺言による債務免除や、著しく低い価額で財産を譲り受けたことによる利益、信託に関する権利などもみなし相続財産に含まれることがあります。

 

生前贈与も相続財産に含まれる可能性がある

被相続人が生前に特定の相続人に対して行った贈与についても、相続税の課税価格に含めて計算しなければならない場合があります。

これは、被相続人が亡くなる直前に集中的に財産を贈与することで、相続税の支払いを不当に免れようとする行為を防ぐための措置です。

以前は、相続開始前3年以内に被相続人から贈与された財産が課税価格に加算されていましたが、制度改正により、相続開始前7年以内に被相続人から贈与された財産も、相続税の課税価格に加算されることになりました。

この期間は、令和5年12月31日以前に行われた贈与については3年、令和6年1月1日以降に行われた贈与については段階的に延長され、最終的に7年となります。

また、生前贈与の際、相続時精算課税の適用を受けた贈与財産も、その贈与の時期にかかわらず、すべて相続税の課税価格に加算されます。

相続税の計算の際は、これらの生前贈与の履歴を正確に把握し、課税対象となる贈与を適切に加算することが必要です。

 

相続税がかからない(非課税)財産

相続や遺贈によって取得した財産であっても、その性質や目的から、相続税の課税対象外とされる非課税財産が存在します。

これらの財産は、社会的慣習や政策的な配慮に基づき、税金が課されないことになっています。

非課税財産となる主なものとして、まず墓地、墓碑、仏壇、仏具、祭具などが挙げられます。

祭祀に関する財産は、一般的に相続税は課税されません。

ただし、骨董品としての価値があるような純金製の仏像など、投資の対象となり得るようなものは、非課税財産とは認められない場合があります。

次に、公益を目的とする事業を行う者が取得し、その事業の用に供することが確実な財産も非課税となります。

たとえば、社会福祉法人などが取得した財産であり、公益目的のために使われることが確認された場合に適用されます。

さらに、心身障害者共済制度に基づく給付金の受給権も非課税となります。

これは、心身に障害のある方を支えるための制度であり、その給付金が非課税とされることで、障害者やその家族の生活が保護されます。

 

まとめ

今回は相続税の対象となる遺産について解説していきました。

相続税の課税対象となる財産は、種類によって価値の算定が非常に複雑になります。

当事務所は山梨県甲府市を中心に、県内全域からご相談を承っています。

相続税に関して不明点や不安がある場合は、ぜひ当事務所までご相談ください。