株式が遺産にあった場合の計算方法を解説

記事監修

税理士・中小企業診断士 小口 亮平

慶應義塾大学法学部卒。ITストラテジスト、freee認定アドバイザー。法律会計事務所での実務経験を活かし、資産税申告や事業承継、クラウド会計導入などITと税務の両面から経営を支援。

株式を保有している方が亡くなった場合、その株式も相続財産として扱われます。

しかし、株式には上場株式と非公開株式(取引相場のない株式)があり、それぞれ評価方法や計算手順が異なります。

本記事では、株式が遺産に含まれていた場合の相続税評価の考え方と計算方法について解説します。

 

株式も相続税の課税対象になる

相続税は、現金や不動産だけでなく、株式などの有価証券も対象となります。

株式は、相続開始日時点の評価額を基に相続税額を計算します。

まずは、被相続人がどの銘柄を何株保有していたのかを正確に把握することが大切です。

具体的には、証券会社から残高証明書を取り寄せるなどして確認していきます。

 

上場株式の計算方法

上場株式とは、金融商品取引所に上場している株式のことをいいます。

市場価格が存在するため、一定のルールに基づいて評価額を算出します。

 

評価額の求め方

上場株式の評価は、次の4つの価格のうち最も低い金額を採用します。

 

・相続開始日の終値

・相続開始月の毎日の終値の平均額

・相続開始月の前月の毎日の終値の平均額

・相続開始月の前々月の毎日の終値の平均額

 

価格変動による不公平を避けるため、このように複数の価格を比較する仕組みになっています。

 

計算の流れ

まず、上記4つの価格を比較し、最も低い1株あたりの価格を選びます。

次に、その価格に保有株数を掛けます。

 

評価額 = 1株あたりの価格 × 保有株数

 

たとえば、1株2000円で1000株保有していた場合、200万円が相続財産として計上されます。

計算式:2000円 × 1000株 = 200万円

 

休日や権利落ち日の注意点

休日や権利落ち日のケースでは、評価日を誤らないよう注意が必要です。

相続開始日が土日祝日で市場が休みの場合は、直前または直後の取引日のうち、相続開始日に最も近い日の終値を用います。

また、配当や株主優待の権利が落ちる権利落ち日に該当する場合は、株価の急落による過小評価を防ぐため、一定の調整が行われます。

具体的には、権利落ち日前の終値のうち、相続開始日に最も近い日の終値を用いて評価します。

 

配当金に注意

相続時には、株式そのものだけでなく配当に関する権利の有無も確認が必要です。

配当が確定している場合は、状況に応じて「配当期待権」または「未収配当金」として、株式とは別に相続財産へ計上します。

 

非公開株式(取引相場のない株式)の計算方法

非公開株式とは、金融商品取引所に上場していない会社の株式を指します。

市場価格が存在しないため、国税庁の「財産評価基本通達」に基づいて評価します。

 

会社規模による評価方法の違い

非公開株式は、会社の規模を大会社・中会社・小会社に区分し、それぞれ次の方法で評価します。

 

・大会社:類似業種比準方式

・中会社:類似業種比準方式と純資産価額方式の併用

・小会社:純資産価額方式

 

会社規模の判定は、売上高・従業員数・純資産価額を基準に行われます。

 

類似業種比準方式

同業種の上場企業の株価などを参考にして評価する方法です。

国税庁が業種別に公表している株価や配当額、利益、純資産などの数値を参考に、所定の計算式に当てはめて株価を算出します。

主に大会社に適用される評価方法です。

 

純資産価額方式

会社の資産と負債を相続税法上の時価ベースに置き換え、純資産を算出します。

その純資産額を発行済株式数で割り、1株あたりの評価額を求めます。

資産価値を重視する評価方法で、小会社に適用されます。

 

併用方式

中会社に該当する場合は、類似業種比準方式と純資産価額方式を一定の割合で組み合わせて評価する併用方式が採用されます。

中会社はさらに規模に応じて大・中・小に細分化され、それぞれで適用される割合が異なります。

一般的に、会社規模が大きいほど収益力を反映する類似業種比準方式の割合が高くなります。

 

配当還元方式

同族株主以外の少数株主が取得する場合は、特例として配当還元方式が適用されます。

過去の配当実績を基に株価を算定する方法で、評価額は比較的低くなる傾向があります。

 

株式評価後の相続税計算の流れ

株式の評価額を算出した後は、他の財産と合算します。

その合計額から以下の基礎控除額を差し引きます。

 

基礎控除額=3000万円+(600万円×法定相続人の数)

 

残った課税遺産総額をいったん法定相続分で按分し、相続税の速算表に当てはめて税額を計算します。

こうして算出した各人の税額を合計した金額を、実際の取得割合に応じて各相続人に按分し、配偶者控除などの税額軽減を適用したうえで、最終的な納付税額を確定させます。

 

まとめ

株式が遺産に含まれている場合、上場株式と非公開株式で評価方法が大きく異なります。

まずは正確な保有状況を把握し、適切な方法で評価額を算出することが重要です。

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