公的年金の未支給部分に相続税はかかる?
公的年金を受け取る前に亡くなった場合、その未支給の公的年金は誰が受け取り、税法上どのように取り扱われることになるのでしょうか。
Question
妻(70歳)が9月20日に亡くなりました。
妻が亡くなった翌月の10月15日妻の預金口座に国民年金が入金されました。
この年金は相続税の計算上、どのように取り扱えばよいのでしょうか。
相続財産として、相続税が課税されますか?
妻が亡くなった翌月の10月15日妻の預金口座に国民年金が入金されました。
この年金は相続税の計算上、どのように取り扱えばよいのでしょうか。
相続財産として、相続税が課税されますか?
Answer
ご相談のケースは、ご遺族が自分のものとして受け取るものです。
そのため、相続税は課税されず、受け取ったご遺族に対して所得税が課税されます。
そのため、相続税は課税されず、受け取ったご遺族に対して所得税が課税されます。
目次
死亡時点で支給されていない年金
国民年金等の公的年金は、毎年2月、4月、6月、8月、10月、12月の偶数月の15日に、その前月と前々月の2ヶ月分の合計額が支給されます。
この場合、15日が土曜日、日曜日または祝日であるときは、その直前の平日が支給日となります。
今回、10月15日に支給された年金は、8月と9月の2ヶ月分の合計額となります。
ワンポイント!
8⽉と9⽉の年⾦は、10⽉にまとめて2ヶ⽉分が⽀給されます。
亡くなった⽉まで⽀給されるため、奥様の年⾦は9⽉分までが⽀給対象となります。
8⽉と9⽉の年⾦は、10⽉にまとめて2ヶ⽉分が⽀給されます。
亡くなった⽉まで⽀給されるため、奥様の年⾦は9⽉分までが⽀給対象となります。
誰が受け取るもの?
公的年金は、死亡した日の属する月分まで受け取ることができます。
受給者が亡くなった時点で、まだその者に支給されていない年金(以下、未支給年金)がある場合には、死亡した受給者の配偶者、子、父母など三親等内の親族であって、かつ、生計を一にしていた者が、「自己の名」で受け取ることができることになっています。
つまり、ご相談の国民年金は、奥様の相続財産として受け取るのではなく、未支給年金としてご遺族が受け取るもの、ということになります。
ワンポイント!
国⺠年⾦等の公的年⾦は、年⾦受給者と家族の⽣活を保障するために⽀給されるものですので、未⽀給年⾦部分は遺族のものとなります。
国⺠年⾦等の公的年⾦は、年⾦受給者と家族の⽣活を保障するために⽀給されるものですので、未⽀給年⾦部分は遺族のものとなります。
課税上の取り扱い
このように未支給年金は奥様の相続財産とはならないため、相続税は課税されません。
他方、未支給年金を受け取ったご遺族に対して所得税が課税されます。
この場合の所得の種類は、通常、本人に支給される公的年金は「雑所得」ですが、ご相談のケースは「一時所得」となります。
一時所得は年間50万円まで控除額がありますが、他に一時所得がある場合には、この分を含めて計算するのを忘れないようにしましょ う。
税金についてのご相談は、当事務所までお気軽にお問い合わせください。
〈参考〉所得税基本通達34-2、国民年金法第19条、国税庁HP「未支給の国民年金に係る相続税の課税関係」