借家権の相続税評価

 

今回は、相続税法上の借家権の評価について取り上げたいと思います。この論点は教科書にも実務的な取扱が掲載されていることが少なく、皆様の参考になることもあるかと思い掲載してみました。

目次

借家権の評価

相続税法上の借家権の評価は、財産評価基本通達94に記載されています。

94 借家権の価額は、次の算式により計算した価額によって評価する。ただし、この権利が権利金等の名称をもって取引される慣行のない地域にあるものについては、評価しない。(昭41直資3-19・平11課評2-12外・平16課評2-7外改正)
借家権の価格の算式
上記算式における「借家権割合」及び「賃借割合」は、それぞれ次による。

(1) 「借家権割合」は、国税局長の定める割合による。

(2) 「賃借割合」は、次の算式により計算した割合による。
Aのうち賃貸借している各独立部分の床面積の合計÷当該家屋の各独立部分の床面積の合計(A)

取引される慣行のある地域・ない地域について

実務上の取扱い

上記通達の書きぶりからすると、「ただし、」とあるように評価することが原則のようにも取れます。

しかしながら、実務上は逆となっております。

具体的には、例えば三大都市圏の高級ブランドや誰もが知っているようなテナントがこぞって入居しているような賃貸物件のみ取引慣行のある地域とされているのです。

その場所を借りるために賃貸人の地位をお金を出して積極的に買うことがブランドイメージの形成につながるような例外的な場合のみ評価することとなります。

参考:借地権の取引慣行

同様に、借地権も取引慣行がなければ評価されませんが、借地権の取引慣行は倍率表・路線価図を見れば一目瞭然です。

その図に記載されている借地権割合が30%未満であれば、借地権の慣行がないものとみなされるからです。

具体的には、路線価図や倍率表でで「-」の所ですが、ほとんどありません。

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