令和2年分の所得税から変わる 青色申告特別控除額と基礎控除額
令和2年分の所得税から、青色申告特別控除額と基礎控除額が改正されました。所得にどの程度影響が生じるか、確認しましょう。
目次
改正の概要
平成30年度税制改正により、令和2年分以降の所得税において、青色申告特別控除額と基礎控除額は、次の通りとなりました。
青色申告特別控除
1.従来の『65万円控除』の要件
個人で不動産の賃貸収入を得ていたり、事業を行っていたりする場合に、予め“青色申告”の申請をすることで、所得税の計算上、いくつかの特典を得ることができます。そのうちの1つが「青色申告特別控除」です。
「青色申告特別控除」は、儲け(所得)から一定の控除額を差引くことができる制度で す。控除額の上限は、令和元年分までは、次の要件に応じてそれぞれ次の金額でした。
これが改正により、65万円の控除(以下、65万円控除)に要件が加わり、この要件を満たさない場合には、控除額が10万円低い55万円になりました。この新たな要件と控除額をフローチャートにしたのが、次の図です。
2.電子申告と電子帳簿保存
新たな要件である、“電子申告”や“電子帳簿保存”の概要は、次の通りです。
(1)電子申告
「電子申告」とは、e-Taxによる申告をいい、インターネットを利用して、国税の申告書等を提出することを指します。
要件を満たすには、確定申告書の他、青色申告決算書(平均課税の適用を受ける場合は、変動所得・臨時所得の平均課税の計算書)も電子申告しなければなりません。
(2)電子帳簿保存
「電子帳簿保存」とは、予め税務署へ申請を行って承認を受けた上で、帳簿を電子デー タで保存することをいいます。
この承認を受けるには、一定の要件に該当する必要があります。
また、申請には期限があり、原則は帳簿の備付けを開始する日の3ヶ月前の日までに申請書を税務署へ提出しなければなりません。ただし、令和2年分に限り、令和2年9月30日までに提出を行い、同年中に承認を受け、同年12月31日までの間に電子帳簿保存を行うことで、令和2年分から65万円控除を受けることができます。
基礎控除
基礎控除は、合計所得金額から控除する “所得控除”の1つであり、これまで誰もが適用できる所得控除でした。
それが今回の改正により、控除額が48万円へと10万円引き上げられたものの、合計所得金額が2,400万円を超えると、合計所得金額に応じて控除額が逓減し、2,500万円を超えると控除が受けられないこととなりました。
いくら変動する?
今回ご案内した改正について、新たな要件を満たすか否かによって受けられる青色申告特別控除額、および各々の合計所得金額に応じた基礎控除額、並びにこれら控除額の合計額と、これまでと比べていくら変わるのか、一覧表にしました。ご自身の控除額がいくら変動するのか、確認してみましょう。