災害支援にふるさと納税制度が活用できます 災害義援金と“ふるさと納税”

個人の方が災害義援金を送金した場合、一定の要件を満たせば、税務上“ふるさと納税” として、所得税と住民税の負担を減らすことができます。

目次

災害支援目的の“ふるさと納税”

災害が発生して、個人の方がその被災地の都道府県や市区町村など、いわゆる“被災自治体”へ義援金を送金した場合、当該被災自治体に対する寄附金として、“ふるさと納 税”の取扱いを受けることができます。

“ふるさと納税”の概要

“ふるさと納税”とは、個人が行った自治体への寄附のうち、上限はありますが原則として、2,000円を超える部分について、所得税あるいは住民税から控除してもらえる制度をいいます。ただし、原則として確定申告をする必要があります。

“ふるさと納税”の控除イメージを示すと、下図のとおりです。

ちなみに、平成30年 7月6日付で公表された総務省の「ふるさと納税現況調査結果」によると、ふるさと納税の平成29年度の実績は、受入額が約3,653億円、納入件数が約1,730万件となり、ともに前年対比でおよそ1.3倍の伸びを示しています。

平成30年7月豪雨にも適用

西日本を中心に広い範囲で被害に見舞われた平成30年7月豪雨では、被害の大きな地域に災害救助法が適用されました。災害救助法の適用を受けた災害については、先述の被災自治体へ直接義援金を送金する以外にも、日本赤十字社や中央共同募金会など、被災者の支援を行う募金団体が受け付ける義援金で、その全額が義援金分配委員会等を通じて被災自治体に配分され、最終的に被災住民へ届く一定の義援金についても、“ふるさと納税”として取扱われます。

このように、被災自治体へ直接寄附をしなくても、“ふるさと納税”制度を活用し、被災者支援を行うことができます。

“ふるさと納税ワンストップ特例制度”

先述のとおり、“ふるさと納税”を利用するには、原則として確定申告をする必要があります。ただし、本来確定申告が不要なサラリーマンなどについては、わざわざ“ふるさと納税”をするためだけに確定申告を行わなくても、同様の効果が得られる「ふるさと納税ワンストップ特例制度」を利用することもできます。

確定申告を行う場合と「ふるさと納税ワンストップ特例制度」を利用する場合の手続きは次図のとおりです。

「ふるさと納税ワンストップ特例制度」を利用できる注意点としては、先の要件の他、寄附先が5団体までとなっている点です。

また、実際に寄附をする際に一定の申請 書を、寄附先へ提出しなければなりません。一定の事務手続きが必要な点にも注意しましょう。

これらの他、日本赤十字社や中央共同募 金会などが募集する義援金の送金について は、“ふるさと納税”に該当したとしても、「ふるさと納税ワンストップ特例制度」を利用することはできません。この場合、 “ふるさと納税”を利用するには、原則どおり確定申告をしなくてはなりません。また、確定申告をする場合には、同じ年に「ふるさと納税ワンストップ特例制度」を利用することはできません。あわせて確定申告をする点にもご留意ください。