死亡退職金には所得税がかからない?

退職金を受け取る場合には通常は所得税がかかりますが、相続人が受け取る死亡退職金は、所得税の課税対象とはならず、みなし相続財産として相続税の課税対象となります。

 

Question

50代の父が先月亡くなりました。残された家族は、母と私の2人です。
父が勤務していた会社から、死亡退職金として3,000万円が配偶者である母に支給されました。この退職金からは税金が引かれていないようなのですが、税の取扱いはどのようになるのでしょうか?

 

Answer
遺族が受け取る死亡退職金は、相続税が課税されます。
相続人が取得した場合には非課税枠があり、「500万円×法定相続人※1 の数」までは、相続税がかかりません。

 

目次

退職金の税務上の取扱い

退職金は、一般的にはご本人が生存中に受け取られる場合が多く、この場合には所得税が課税されます。

しかし、ご相談のように亡くなられた方(以下、被相続人)のご遺族に支払われる死亡退職金等※2 については、被相続人の所得税ではなく、みなし相続財産として相続税が課税されることとなります。

 

死亡退職金等の相続税の非課税枠

相続人が死亡退職金等を受け取った場合には、次の非課税枠まで相続税を課税しない、という制度が設けられています※3。

相続税における死亡退職⾦等の非課税枠=500万円×法定相続⼈の数

 

ご相談の場合は、お母様と相談者様のお2人が相続人ですので、右の課税対象の額が相続税の課税対象となる死亡退職金等となります。

なお、死亡退職金等であっても、支給される金額が被相続人の死亡後3 年経過後に確定したものは、死亡退職金等を受け取った人の所得税の課税対象となります。ご留意ください。

 

〈参考〉国税庁タックスアンサー「No.4117 相続税の課税対象になる死亡退職金」