上場株式の相続税評価法

相続税を計算する時、上場株式はいつ時点、どの期間の、どの価額で評価することになるのでしょうか。上場会社の株式に係る相続税評価方法を解説します。

 

Question
上場会社の株式を相続しました。
相続税を計算する上で、この株式を評価しなければなりません。
この場合の評価額(相続税評価額)は、
相続開始日の終値を基に算定することとなるのでしょうか。

 

Answer
上場会社の株式に係る相続税評価額は、原則として、次にご紹介する①~④の価額のうち、最も低い価額を基に算定します。

 

目次

上場株式の評価方法

相続税を計算する上で、金融商品取引所に上場されている株式(以下、上場株式)の評価は、原則として、次の①によります。ただし、①が次の②~④のうち最も低い価額を超える場合には、最も低い価額によります。

つまり、①~④のうち、最も低い価額を基に、相続税評価額を計算することとなります。

この場合の“相続開始日”とは、被相続人の死亡の日を指します。

また、相続開始日が金融商品取引所の休業日であるなどの理由により、①の終値がないケースもあります。そのような場合は、相続開始日に最も近い日の終値が①となります。

この“最も近い日”について、日付の前後は関係ないため、最も近い日が前後1日ずつ、トータルで2日あるケースも考えられます。このような場合には、両日の終値を平均した額が①となります。

なお、権利落ちや配当落ちがある場合には、別途、一定の調整計算が必要です。

 

価額の情報はどこから入手できる?

では、これらの価額はどこで確認できるのでしょうか。

紙媒体の他、インターネットからも知ることができます。その代表例を下にご紹介します。ご参考になさってください。

なお、公表されている終値(終値平均)に円未満の端数がある場合には、円未満の端数は切り捨てて計算します。

①の価額の確認 ・⽇刊⼯業新聞

・ヤフーファイナンス https://finance.yahoo.co.jp/

②➂④の価額の確認 ・⽇本取引所グループ(JPX)https://www.jpx.co.jp/

 

ケーススタディで確認

次の事例で相続税評価額を算定してみましょう。

 

上場株式は価額が公表されていますので、相続税評価額の算定はわりとスムーズにできますが、ここでご紹介した①~④の4つの価額から、最も低い価額を選ぶことを忘れないようにしましょ う。

 

〈参考〉評基通 168、169、国税庁ホームページ「No.4632 上場株式の評価」